このミッションでは、米国実験棟「デスティニー」にカナダが製作したISS用のロボットアーム(SSRMS)とUHFアンテナを取り付ける他、イタリアが製作した3機の多目的補給モジュール(MPLM)の2号機ラファエロに、デスティニーへ運ぶ実験ラック2台および輸送用のラックなど、合計10台のラックを搭載して打ち上げました。
・宇宙ステーション用ロボットアーム
(SSRMS:Space Station Remote Manipulator System)
SSRMSは、ISSに取り付けて使用するロボットアームでカナダが開発しました。
7個の関節部を持つ左右対称の腕であり、手に相当する部分になる両端のエンドエフェクタ(LEE:
Latching End Effector)でグラップルフィクスチャ(PDGF:Power and
Data Grapple Fixture)と呼ばれる把持台座を交互につかんで、シャクトリムシのように移動することができます。これは、今までのスペースシャトルのロボットアームには無かった新しい機能です。
PDGFは、SSRMSのLEEの把持部になると共に、ISSとSSRMS間の電力とデータ通信、ビデオデータの伝送経路として使われます。SSRMSはこのPDGF以外にも、従来使用していた(電力やデータ通信のインタフェースを持たない)型のグラップルフィクスチャ(FRGF:Flight Releasable Grapple Fixture)を使用することができるため、トラスや、各モジュール、ペイロード等には、このPDGFかFRGFのどちらかが必ず設置されます。ただし今回の6Aフライトの時点では、デスティニーに取り付けられている1個の PDGFしかありません。
・UHFアンテナ
ISSにUHF通信システムが導入されると、ISSから直接、外部との無線による通信ができるようになります。
船外活動クルーはスペースシャトルと無線で交信できますので、ISSとスペースシャトルが結合している間は、ISSからもスペースシャトルを経由して船外活動クルーと交信することができます。しかしスペースシャトルの帰還後には、船外活動クルーとISS内のクルーは、現状では交信することができません。ISSから船外活動を実施するためには、エアロック(この次の7Aフライトで取り付ける予定)と供に、このUHFによる通信システムが不可欠です。
・多目的補給モジュール(MPLM)「ラファエロ」
MPLMはイタリア宇宙機関(ASI)が開発した、与圧補給品をISSへ運ぶモジュールで、3機が開発されており、それぞれ、「レオナルド」、「ラファエロ」、「ドナテロ」という愛称が付けられています。今回飛行するのは、2号機の「ラファエロ」です。
ラファエロはスペースシャトルの貨物室(ペイロードベイ)に搭載して打ち上げられ、スペースシャトルのロボットアームでISSのユニティの下側の共通結合機構(CBM:Common Berthing Mechanism)に結合して、クルーがラックや物品の搬入搬出を行います。作業終了後は、CBMによる結合を解除して、再びスペースシャトルの貨物室に積み込み地球へ持ち帰ります。
(注:地球に持ち帰られるため模型ではMPLMは再現されていません。)
※記事、スペックに関してはJAXA宇宙ステーション・きぼう広報・情報センターホームページより転載(一部改変)させていただきました。